投資とお金の基礎知識(投資とそれだけに頼らない資産形成)

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【投資家必見】レグテックに関する基礎知識(世界の銀行が30兆円以上支払う世界)

 

【投資家必見】レグテックに関する基礎知識(世界の銀行が30兆円以上支払う世界)

 

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Regulation(規制)

【レグテックとは】 

レッグテックとは規制(Regulation)と技術(Technology)を合わせた造語。
フィンテック(金融(Finance)と技術(Technology)を合わせた造語)の一部と紹介されているケースも多いが、複雑になってきている規制(特に金融規制)に対して効率よく処理するために、利用するIT技術のことである。

コロナ環境で、ますますネット上での世界が広がっていく中では、今後規制の重要性が増していくと思われるため、概要だけでも知っておくことをお勧めしますので最後までご覧ください。

 

【主なポイント】 

1.レッグテックがなぜ注目されるのか

①規制が複雑で広範囲になっていること

企業の取引相手がグローバル化しており、仮想通貨など新しい技術で金融取引が行われている。そのため、各機関が、国や地域を超えての規制が必要になる。

そのため、

 ・規制をかける側も社会の変革にあわせて随時新しい規制をつくり、その内容で多くの金融機関を検査する

 ・規制自体が複雑化しているので、各金融機関がこれに対処するには、多大な工数がかかる

という事になる。

つまり、「規制を”かける側”・”かけられる側”」双方にとって、この技術が重要になるという事が大きな特徴である。

 

②規制対応に遅れると、多額の費用がかかること
海外の金融機関やネット企業でもたびたび、規制違反で100億円から多い時には数千億の賠償金が請求されている。
(少し古いデータだが、2009 年から 2016 年までに、世界の銀行が払った罰金だけで3210億ドル(日本円換算で約32兆円)も払っている。※ボストンコンサルティンググループ調べ)

 ■レグテックの発展

https://www.sonposoken.or.jp/media/reports/sonposokenreport123_2.pdf

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世界の銀行は多額の罰金を払っている

2.レッグテックの活用例

①eKYC技術

本人確認(KYC、Know Your Customer)の手続きをオンラインで行う技術をeKYCと呼びます。最近ではドコモ口座問題で有名になりましたが、特に金融機関では口座作成時に厳格に本人確認を行う必要があります。しかし、実際に窓口に行くとなるとコロナ環境では大変ですし、そもそも色々な書類のやり取りに顧客側も窓口業務側にも負担がかかります。eKYC技術の最新技術では、本人と免許書を同時に撮影することで本人確認が可能となっています。

 

②規制報告書の作成
規制機関(金融監督庁のような機関)に対して、金融機関は報告書を作成する必要がでてくる。金融機関自体は色々なシステムでデータを管理しているので、報告書作成には手間がかかる。

これを解決するために、各データを一括管理するようなプラットフォームを作り、そこへデータを落とし込むだけで、効率的に報告書に仕立てることができるような仕組みを作っている。

 

③住宅ローンの審査をAIでサポート
ローンをくむ顧客のデータと過去の審査履歴の相関関係をAIで審査する。具体的には、ローン返却できなかった顧客の傾向と今回の顧客のデータがどの程度一致しているかによって判断させることで、融資をするかどうかの判断材料にします。人間より多くの情報を判断材料にできることが特徴です。

 

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住宅ローン

マネーロンダリングの防止

顧客の職業や収入などの情報や、過去の取引履歴や、取引頻度などから怪しい取引をAIが判別して警告を上げたりするといったものである。

特に仮想通貨では、一定規模(例えば100万円)以下なら特に取引申請などが必要ないというルールであった場合、これを何度も取引することでマネーロンダリングに利用する例があるが、そういったことを防止することができる。

 

3.レグテック含めた金融ITへの対策

金融機関はお金にシビアではあるが、支払い能力は高いので、現時点ではITに一定の投資をしてくる。しかも上記の通り、罰金だけで30兆という世界である。

また金融機関側だけでなく、取り締まる当局側も多くの金融機関を検査するために、レグテックを活用したいと考えている。
したがって、この業界は今後成長する分野であると考えるので、以下のような対策をしておくことをお勧めする。

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金融ITがこれから投資の中心

 

①IT知識を身に着ける

今後多くのサービスが出てくると思うが、上記のように「レグテックとは」というだけでなく具体的なサービスの良しあしで投資判断をする必要に迫られる可能性が高い。

仮想通貨が乱立している中からビットコインなどいくつかの優良物件を探すのと同じである。したがって、投資家としては基礎的なIT知識を身に着けることが、レグテックだけでなく必要になる。
最終的にはAIやブロックチェーンなどを理解する必要があるが、その前にまず「コンピュータとは」とか「ネットワークとは」という基礎知識がないとそれらの知識も身につかない。そのため基礎的な知識を本などで身に着けることが望ましいです。
最近ではより簡単な「ITパスポート」という試験もあるので、参考書を見てはいかがだろうか。投資で人気の、仮想通貨、AI、5G、自動運転も全てITが関連しているので知識をつけて損はないはずである。

 

②関連サービスを作る企業を調べる
レグテックに力を入れている企業の多くは海外である。英米はとくに昔から力を入れている。日本経済新聞の記事によるとデジタルID分野の企業に向けた投資は米企業向けが43%、英企業向けが15%と両国で過半数を占めている。その他の主な投資先はカナダ(5%)、中国(4%)、シンガポール(4%)とのことで、日本は出てこない。
日本でもeKYCであれば、NECDNPなどいくつかの大手も出てくるが、他のeKYC関連企業は正直今はまだ売り上げも小さい企業が多いように見上けられる。簡単には見つからないが次の金の卵はこの分野にいると思われるので調べてみるとよいと思います。



【あとがき】

 レグテックという言葉自体は、マイナーな言葉であり、他に詳細な説明が掲載されているページもあるが、なかなか一般的に聞きなれない言葉である。
しかし、私は金融SIerとして日々現場で対応していると、金融機関では、マネーロンダリングや信用情報などを重要視する流れが強まっていることを肌で感じる。
そのため、少しでも多くの人に、この言葉の意味を知っていただいて、将来に役立ててもらえれば私も喜びます。